ブラシ手法は、すべてのブラシ バリアントの動作を最も基本的なレベルで決定づける設定です。手法とそのサブカテゴリは、ストロークの外観の属性を表します。
「手法」がブラシ バリアントの基本的な挙動を決めるため、手法を変更するとバリアントの挙動が変わります。たとえば、木炭のようなストロークでありながら、下の色を塗り潰さずに色を塗り重ねていくブラシを作成したい場合、手法を [重ね塗り] に変更します。また、[ペン] カテゴリのバリアントでも、色を引きずるものにしたい場合は、手法を [塗潰し] から [溶かし] に変更します。ブラシ設定の種類には、他の設定項目を変えても、あまりストロークに影響が出ないものもあり、手法を変更したときの結果はさまざまです。
それぞれの手法に、サブカテゴリと呼ばれるバリエーションがあります。これらのサブカテゴリによって、ブラシの動作をさらに細かく設定できます。サブカテゴリに使用される用語はだいたい共通で、次のような性質を意味します。
手法とサブカテゴリを組み合わせることによって、そのブラシに固有のブラシ スタイルを割り当てることができます。たとえば、[塗潰し + ハード + テクスチャ] のブラシストロークは、テクスチャに反応し、準アンチエイリアス処理によって下にあるピクセルを塗り潰します。[塗潰し + ハード + テクスチャ] は、多くの [チョーク] および [木炭] バリアントで使用されています。
[重ね塗り + ハード + テクスチャ] を使用して作成したストローク (上)。[重ね塗り + 濃淡 + ソフト] を使用して作成したストローク (下)。
「重ね塗り」手法では、同じ場所に重ねると色がだんだん濃くなり、最終的には黒になるストロークで描画できます。本物の画材では、フェルト ペンがこの性質を持っています。フェルト ペンで用紙の同じ場所に青、緑、赤の順に塗り重ねていくと、色がだんだん濃くなり、黒に近づきます。黄色などの明るい色を塗り重ねても、色は薄くならず、黒いままです。クレヨンやフェルトペンが「重ね塗り」手法のブラシです。
「塗潰し」手法は多目的で、[アクリル]、[チョーク]、[木炭]、[コンテ]、[グワッシュ]、[パステル]、および [ペン] といった、人気のある多数のブラシ カテゴリの基礎となっています。また、「塗潰し」手法は、一部の [油彩] および [ブレンド]、および多くのスタンプ タイプ ブラシでも使用されています。
「レガシー塗潰し」手法は、Painter ブラシ メディア テクノロジの中心をなすもので、ブレンド、不透明度、および粒子の相互作用など、さまざまなブラシ特性とオプションを提供します。チョークやインパストのバリアントの一部が「レガシー塗潰し」手法のブラシです。
Painter 2022 でのみ利用可能な新しい「強化塗潰し」手法は、ブラシ体験を向上させるため、最新のテクノロジの進歩を活用しています。「フラット」手法ではアンチエイリアシングのサポートが強化されて、不透明な描点のレンダリングが生成されるようになりました。すべての「強化塗潰し」手法で、不自然さを抑えるための意図的なノイズが追加されました。この点は、輪郭を柔らかく描く「ソフト」手法のブラシストロークで特に顕著です。
「アルファ ブレンド」手法では、ブラシストロークに隣接したブレンドでのカラーの精度が改善されました。エッジの近くで、予期しない色ずれが発生する可能性が小さくなっています。「粒子感」手法には、粒子感のコントロールと不透明度のためのオプションが追加され、レイヤー ブレンドが強化されました。加えて、すべての「強化塗潰し」手法にブラシ ローディングのサポートが追加されて、ブラシストロークで染みや油っぽさの効果を表現できるようになりました。
「消しゴム」手法は、バリアントによって、下にある色の消去、明暗の変化、または色伸ばしを行います。
「溶かし」手法は、下にある色と相互に作用して、イメージを歪めます。
この手法を使用するブラシは、現在のカラーと、下のブラシストロークを混ぜ合わせて、油彩の場合でのような優れた効果を生み出します。このブラシはキャンバスとレイヤーの両方で機能し、透明度に対応し、さらに透明度のロックと選択範囲と連動します。このブラシのブラシストロークは表現力と魅力が豊かで、油彩に近い形で色のブレンド、伸ばし、プッシュおよびプルを行うことができます。
Melissa Gallo 氏が手がけたこのペイントでは、サージェント ブラシ バリアントに加えて、[アーティストオイル] カテゴリのブラシが使われました。
「溶かし」手法を使用するバリアントを検索するには、検索バー ([ウインドウ] [検索]) に、「サージェント」または「溶かし」と入力します。
「クローン」手法は、クローン ソースのデータを参照しながら、位置を移動して再構成します。このとき、Natural-Media スタイルのブラシを使用できます。クローンの描画方法について詳しくは、クローン イメージをペイントする.を参照してください。
左側のイメージは、右側のイメージをクローン ソースとして使用したブラシで作成
「デジタル水彩」は、キャンバスや標準のレイヤーにデジタル水彩のブラシストロークを適用する手法です。詳細は、フリンジ水彩ブラシを使用する.を参照してください。
「マーカー」手法では、プロフェッショナル マーカーをシミュレートしてレンダリングの描画や作成ができます。詳細は、マーカー.を参照してください。
[選択] 手法を使うと、次の種類の描点を使うブラシでペイントすることでフリーハンド選択を作成できます。円形、レンダリングされた円形、取り込み、1 ドット、ブリスル、ダイナミック スペックル ブリスル、ダイナミック スペックル粒子タイプ (フロー、重力、ばね)。詳細は、ペイントによる領域の選択.を参照してください。
選択手法を使うブラシで作成された選択の例 (右)。ペイント中に表示される色のオーバーレイ (左) が、選択された領域と保護された領域を見分けるのに役立ちます。
「水彩」は、水彩レイヤーにブラシストロークを適用する手法です。詳細は、水彩レイヤーを使用する.を参照してください。
「プラグイン」は特殊な手法で、さまざまな手法のサブカテゴリからなっています。この手法は特定のブラシの動作を意味するものではありません。さまざまなサブカテゴリを追加できる窓口として機能します。
「プラグイン」手法のさまざまなサブカテゴリについては、ひととおり試してみる価値があります。たとえば、「左渦巻き」という手法があり、このブラシで描くと、印象派の画家が左にねじりながら描いたような描点やストロークになります。
ブラシ ライブラリのバリアントの手法とサブカテゴリを変更すれば、どのブラシもプラグイン ブラシに変更することができます。
[手法] オプションと [サブカテゴリ] オプションを利用できる描点の種類は、[円形]、[1 ドット]、[ブリスル]、[取り込み]、および [消しゴム] だけです。