レイヤーを編集する

レイヤー上にペイントしたり、透明の部分にペイントしないようにレイヤーの透明度をロックすることができます。また、レイヤーコンテンツを移動して、イメージ全体のレイアウトを変更することもできます。選択範囲を使用すると、レイヤーの中の領域をフローティングオブジェクトに変換して、別々に動かせるようになります。リファレンスレイヤーには、元のイメージが低解像度で表示されるので、通常では時間がかかるイメージ編集操作を素早く実行することができます。

レイヤーコンテンツは、ドロップシャドウやパターンのような効果の適用や寸法の変形などを行って編集することができます。また、レイヤーの不透明度を変更したり、レイヤーと他のレイヤーを混合する方法を合成方法を使用して変更したりすることもできます。後で使用できるように、イメージバインダを使用してレイヤーのコンテンツを保存することができます。

レイヤーにペイントする

レイヤー上にペイント、描画、消去、またはクローンを作成するには、レイヤーを選択し、ブラシを使用します。ただし、レイヤーにペイントする場合には、次のような制限があります。

ブラシ手法とレイヤー上でのペイント

Natural-Media 環境では、別々のレイヤー上にあるブラシストロークでも相互に影響させることができます。「塗潰し」手法のブラシと「重ね塗り」手法のブラシとを同一レイヤー上で使うと、意図しない結果になることがあります。これは、ブラシの手法とレイヤーの合成方法との間に矛盾が生じるためです。

レイヤーの透明度をロックする

レイヤーのイメージがない部分は透明です。レイヤーの透明部分がそのまま変わらないようにするには、[レイヤー] パネルの [透明度ロック] チェックボックスをオンにします。このオプションをオンにすると、レイヤー上で描画できる領域が制限されます。また、レイヤー上のイメージを消去/削除したときの結果にも影響します。

デフォルトでは [透明度ロック] はオフになっており、レイヤー内の任意の場所にペイントできます。[透明度ロック] チェックボックスがオンになっている場合は、透明部分が保護されるので、レイヤー上ですでに何か描画してある部分にしかペイントできません。

[透明度ロック] をオフ (左) またはオン (右) にしてレイヤー上にペイントした例

シェイプ上にペイントする場合は、まずシェイプをピクセルベースのレイヤーに確定する必要があります。詳細は、シェイプをペイントするにはを参照してください。

[透明度ロック] チェックボックスは、レイヤーマスクと置き換えてみると分かりやすいでしょう。レイヤーマスクを使用するに記載されているように、レイヤーマスクはレイヤーのどの領域を表示するかを指定します。

[透明度ロック] を編集ツールとして使用することによって、適用済みのストロークを変更し、面白い効果を作成できます。たとえば、[透明度ロック] をオンにすると、手描きの文字をパターンやカラーグラデーション、その他のブラシストロークなどで塗り潰すことができます。

[透明度ロック] はレイヤー上の切り取りや消去の結果にも影響します。

[透明度ロック] チェックボックスがオフの状態でレイヤーの一部 (女性の髪) を消去すると、透明度が復元され (左)、オンにするとペーパーカラーが現れます (右)。

レイヤーマスクは、レイヤーの透明度に基づいて作成できます。書類ウィンドウでレイヤーのどの領域を表示するかをレイヤーマスクで定義できます。詳細は、レイヤーマスクを作成するを参照してください。

下のレイヤーの色を拾う

軽く触れるのではなく押し付けるブラシバリアントを使用する場合は、下にあるレイヤーから色が拾えます。たとえば上のレイヤーに赤い色、下のレイヤーに青い色がある場合、パレットナイフ(ソフト)] ブラシバリアントを使用してこの赤と青の色を混ぜ合わせられます。ほとんどの場合、個別のレイヤー内で色を混ぜることができるブラシバリアントでは、下にあるレイヤーの色を拾うこともできます。

フローティングオブジェクトを使用する

レイヤー上に選択範囲を作成するには、長方形選択ツール、楕円形選択ツール、なげなわツール、マジックワンドツールを使用します。レイヤー上の選択範囲は、キャンバス上の選択範囲と同じように機能します。たとえば、ブラシストロークを制限したり、任意の効果を適用するために一部を分離したり、カットまたはコピーする領域を選択したりすることができます。詳細は、選択範囲と変形を参照してください。

デフォルトでは、選択範囲を移動すると、選択マーキーだけが移動し、イメージは移動しません。レイヤー上で選択しているイメージそのものを移動するには、選択範囲をレイヤーに変換する必要があります。その結果、レイヤーの選択領域がフローティングオブジェクトに変換されます。フローティングオブジェクトは、移動させて新しい合成を作成することができます。

書類内の各レイヤーでは、同時に 1 つのフローティングオブジェクトしか使用できません。フローティングオブジェクトは、固定してレイヤーにマージすることができます。多くの操作を実行すると、フローティングオブジェクトは、自動的にペアレントレイヤーに固定 (マージ) されます。

フローティングオブジェクトを作成するには、ピクセルベースのレイヤー上で選択範囲を作成します。シェイプはベクタベースなので、フローティングオブジェクトにはできません。ただし、シェイプをピクセルベースのレイヤーに変換することはできます。詳しくは、シェイプをピクセルベースのレイヤーに変換するにはを参照してください。

書類を RIFF 形式で保存すると、Corel Painter はすべてのフローティングオブジェクトをそのまま維持します。ただし、書類を RIFF 以外の形式で保存すると、フローティングオブジェクトは、自動的にペアレントレイヤー (フローティングオブジェクトのあるレイヤー) に固定されます。

ドロップシャドウを追加する

レイヤーコンテンツに陰影を加えると、イメージの外観が異なったものになります。1 つのレイヤーまたはグループに対して、ドロップシャドウを追加することができます。

目的	操作内容
フローティングオブジェクトを移動する	書類ウィンドウでレイヤー調整ツールを使用して、フローティングオブジェクトを別の位置にドラッグします。矢印キーを使用してフローティングオブジェクトを 1 ピクセルずつ移動します。
フローティングオブジェクトを固定する	[レイヤーコマンド] ボタンをクリックし、[固定] を選択します。

ドロップシャドウは、イメージホースノズルの作成時に使用すると便利です。詳細は、イメージを用意するを参照してください。

ドロップシャドウを追加すると、Corel Painter は影の新規レイヤーを作成し、元のレイヤーとグループ化します。グループ化を解除し、元のレイヤーとは別に影のレイヤーだけを選択および変更することができます。

レイヤー上にパターンを作成する

レイヤー上にパターンを作成する方法は、キャンバス上での方法と同様です。ただし、パターンのラップアラウンド機能をレイヤーに適用することはできません。これは、キャンバスにはエッジがありますが、レイヤーにはエッジがなく、サイズが制限されないためです。レイヤー上でパターンをずらしても、パターンは回り込みません。詳細は、パターン.を参照してください。

リファレンスレイヤーを使用する

リファレンスレイヤーは、現在の書類内のピクセルベースのレイヤー、または外部ファイルのイメージコンテンツを使用します。リファレンスレイヤーには、元のイメージが低解像度で表示されるので、通常は時間がかかるイメージの編集操作を素早く実行することができます。リファレンスレイヤーを使用すると、レイヤーのハンドルをドラッグして画面上のレイヤーをサイズ変更、回転、傾けることができます。変更内容は書類ウィンドウの表示にすぐに反映されます。変更作業を終えたら、リファレンスレイヤーを確定して元の標準レイヤーに戻すことができます。元の解像度に戻すために、Corel Painter によってソースイメージが検証されます。

リファレンスレイヤー内のイメージデータは編集できません。リファレンスレイヤーにペイントしたり、効果を適用しようとすると、Corel Painter からリファレンスレイヤーを元のピクセルベースのレイヤーに戻して確定するように促すメッセージが表示されます。

リファレンスレイヤーは、既存のレイヤーに基づいて、または任意のイメージを配置することによって作成できます。イメージの配置について詳しくは、ファイルを開く/配置する.を参照してください。

レイヤーの不透明度を設定する

レイヤーの不透明度を調節し、透明度の異なるレイヤーを作成することができます。[不透明度] スライダで、0% (完全に透明) から 100% (完全に不透明) まで設定することができます。

合成方法を使用してレイヤーをブレンドする

レイヤーの合成方法は、レイヤーとその下に配置されているイメージとの関係を制御します。合成方法を変更することにより、書類を構成しているイメージを実際に変更することなく、特殊効果を作成することができます。

たとえば、キャンバスにインパストブラシストロークが含まれている場合は、[奥行きの合成] の設定で、インパストブラシストロークとレイヤー上のブラシストロークが交差するタイミングを指定します。詳細は、複数のレイヤーのインパストを合成するを参照してください。

書類内のレイヤーごとに、異なる合成方法を設定することができます。合成時には、下に配置されているイメージに注意が必要です。下に配置されているイメージが黒または白の場合は、問題が生じる恐れがあります。

さまざまな合成方法を理解するには、実際に各合成方法を設定し、その状態を確認してみてください。レイヤーの合成方法を切り替えて、面白いイメージを作成してみましょう。Corel Painter の合成方法と Adobe Photoshop の合成モードの比較について詳しくは、レイヤーを含むファイルを保存するを参照してください。


合成方法	例
デフォルトレイヤーは、下にあるイメージを覆い隠します。
フィルタ下にあるイメージにレイヤーの色合いを追加します。たとえば、黄色のレイヤーの場合は、下にあるイメージが黄色味を帯びた色になります。「重ね塗り」手法のブラシでペイントすると、レイヤーの合成方法は自動的に [フィルタ] に設定されます。
フィルタ塗潰しこの方法では、[デフォルト] と [フィルタ] を組み合わせて使用します。レイヤーコンテンツのエッジの色合いを下にあるイメージに追加し ([フィルタ])、レイヤーの残りの部分は下にあるイメージを覆い隠します ([デフォルト])。この方法を使用したファイルを PSD 形式で保存すると、その合成データは消去されます。
モノクロ/カラー変換キャンバスのピクセルとレイヤーのピクセルの色相と彩度を入れ替えます。この機能は、カラーイメージをグレースケールに、またはその逆に変換する場合に使用します。黒いレイヤーの場合は、下にあるイメージがグレースケールに変わります。カラーのレイヤーの場合は、下にあるグレースケールのイメージが着色されます。
反転レイヤーの背面にある色を反転させます。この方法は、テキストを削除する場合に最適です。黒のテキストの上にレイヤーを重ねると、その文字が白に変わります。反転色は、補色とも呼ばれており、色環上で反対側にある色のことを指します。この方法では、レイヤーの色は無視されます。レイヤーコンテンツは透明になり、その下にある反転色が現れます。
シャドーマップ光をブロックして、そのままのイメージの影を作成します。
マジックコラージュレイヤーとその下にあるイメージを明るさに基づいて合成します。下のイメージより明るい部分が表示されます。暗い部分は下にあるイメージの明るい部分で置き換えられます。これは、テキストを塗り潰す場合に使用すると効果的です。写真のレイヤーを黒いテキストの上に重ねて [マジックコラージュ] を選択すると、テキストがその写真のイメージで塗り潰されます。
疑似カラーレイヤーの輝度を色相に変換します。この方法は、グレースケールのレイヤーをカラースペクトルに変換する場合に使用します。
通常この方法は [デフォルト] と同じように動作します。レイヤーは下にあるイメージを覆い隠します。この方法は Photoshop のデフォルトモードです。
ディザ合成不透明度に基づいてイメージとレイヤーの色を組み合わせます。
乗算色を掛け合わせることにより、色を暗くします。
スクリーン色を合成することにより、色を明るくします。
オーバーレイイメージの色のハイライト部分と陰影部分を維持しながら、色を合成します。
ソフトライトレイヤーの色の輝度に合わせて、イメージの色の明るさを変えます。
ハードライトレイヤーの色の輝度に合わせて、色を掛け合わせるか、またはスクリーンを掛けます。
比較 (暗) イメージとレイヤーのいずれか暗い方の色を使用します。
比較 (明) イメージとレイヤーのいずれか明るい方の色を使用します。
差の絶対値明度が高い方の色から他方の色を差し引きます。
色相イメージの色の輝度と彩度に、レイヤーの色の色相を組み合わせた色を作成します。
彩度イメージの色の輝度と色相に、レイヤーの色の彩度を組み合わせた色を作成します。
色イメージの色の輝度に、レイヤーの色の色相と彩度を組み合わせた新規の色を作成します。[輝度] とは逆の方法です。
輝度イメージの色の色相と彩度に、レイヤーの色の輝度を組み合わせた色を作成します。[色相と彩度] とは逆の方法です。

レイヤーに備考を追加する

[レイヤー属性] ダイアログボックスで、レイヤーに備考を追加して詳細を添付することができます。

イメージバインダでイメージを使用する

イメージバインダは、再度使用したいイメージを格納する場所として大変便利です。

Corel Painter はイメージバインダのアイテムを新規レイヤーに配置します。

イメージバインダライブラリでレイヤーをまとめる

オリジナルのイメージバインダライブラリを作成し、レイヤーをカテゴリ別にまとめることができます。ライブラリ作成時には、ライブラリのサイズが小さいほど、ライブラリ内のコンテンツを確認しやすくなります。

また、イメージバインダライブラリ間でアイテムを移動することもできます。複数のライブラリ間でアイテムを移動する方法について詳しくは、ライブラリを参照してください。

目的	操作内容
1 方向にのみリファレンスレイヤーのサイズを変更する	四辺のハンドルを水平または垂直にドラッグし、1 方向にのみレイヤーのサイズを変更します。
複数の方向にリファレンスレイヤーのサイズを変更する	四隅のハンドルを斜めにドラッグし、2 方向同時にレイヤーのサイズを変更します。縦横の比率を維持するには、Shift キーを押したままドラッグします。四隅にあるハンドルの上にポインタを置くと、ポインタが変化します ()。
リファレンスレイヤーを回転させる	Command キー (Mac OS) または Ctrl キー (Windows) を押したまま、四隅にあるハンドルをドラッグします。四隅にあるハンドルの上にポインタを置くと、ポインタが変化します ()。
リファレンスレイヤーを歪める	Command キー (Mac OS) または Ctrl キー (Windows) を押したまま、四辺にあるハンドルをドラッグします。四辺のハンドルの上にポインタを置くと、ポインタが変化します ()。